原状回復工事の費用相場と借主負担の境界線#原状回復工事費用#リフォーム#内装
目次
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原状回復とは「入居時の状態に戻すこと」ではない
- 通常損耗と経年変化は貸主負担
- 借主負担になるものと、経過年数の考え方
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箇所ごとの費用の目安
- 内装の相場
- 特殊な原因による加算
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見積書のどこを見るか
- 「一式」と全面張替えに注意する
- 経過年数と契約書の特約
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よくいただくご相談
- 「立ち会いはしたほうがいいのか」
- 「貸主側だが、どこまで直すべきか」
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工事の流れと期間
- 退去から入居までの段取り
- 発注のタイミング
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他の選択肢との比較
- 部分補修という選択
- あえて全面リフォームにする考え方
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まとめ
原状回復とは「入居時の状態に戻すこと」ではない
最初に、もっとも誤解されている点から整理します。ここを取り違えると、負担すべきでない費用まで引き受けることになります。
通常損耗と経年変化は貸主負担
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、原状回復を次のように定義しています。借主の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超える使用による損耗を復旧すること。
つまり普通に住んでいて生じる汚れや傷は、借主の負担ではありません。 家賃にはその分があらかじめ含まれている、という考え方です。
貸主負担となる代表例を挙げます。家具を置いたことによる床のへこみ、テレビや冷蔵庫の裏の電気やけ、日照による畳やクロスの変色、壁に貼ったポスターの跡、鍵の経年劣化による交換。画鋲やピンの穴も、下地のボードを替える必要がない程度なら通常損耗の範囲です。
借主負担になるものと、経過年数の考え方
借主の負担となるのは次のような場合です。引っ越し作業でつけた引っかき傷、飲み物をこぼして放置したことによるシミ、結露を放置して発生させたカビ、タバコのヤニと臭い、ペットによる傷や臭い、釘やネジで開けた大きな穴、鍵の紛失による交換。
判断の軸は「通常の使用の範囲かどうか」です。結露そのものは建物側の問題ですが、放置してカビを広げたのであれば管理を怠ったと判断されます。
もうひとつ重要なのが、借主負担であっても全額を払うわけではないという点です。クロスや畳、クッションフロアは6年で残存価値1円まで減価するとされています。入居6年以上であれば、借主の過失でクロスを汚した場合でも、負担はほぼゼロに近づきます。
フローリングは建物の耐用年数に応じた計算になり、経過年数を考慮しないケースもあります。設備機器は種類によって5年から15年です。請求書に経過年数の考慮が反映されているか、必ず確認してください。
箇所ごとの費用の目安
金額は面積とグレードで決まります。以下は横浜市近郊での一般的な範囲です。
内装の相場
クロス張替えは1平方メートルあたり1,000円から1,500円程度。6畳の壁4面で3万円から5万円程度です。部分的な張替えでは、汚損箇所を含む壁1面単位が基本になります。
クッションフロア張替えは1平方メートルあたり3,000円から4,500円程度。6畳で3万円から6万円程度です。
フローリング補修は傷の程度によります。部分補修で1箇所1万円から3万円程度、張替えになると6畳で10万円から18万円程度です。
畳の表替えは1帖あたり5,000円から15,000円程度。グレードにより幅があります。
ハウスクリーニングは1Rで2万円から3万円、2LDKで4万円から7万円程度が目安です。
特殊な原因による加算
タバコのヤニは、クロスだけでなく天井も含めた全面張替えになることが多く、3LDKで20万円から40万円程度に達します。臭いが下地に染みている場合はシーラー処理が加わります。
ペットの臭いと傷も同様で、床と壁の広範囲な工事になります。消臭施工が必要な場合はさらに加算されます。
鍵の交換は1万円から3万円程度です。紛失によるものは借主負担、防犯上の理由による入居者ごとの交換は貸主負担と整理されます。
見積書のどこを見るか
過大請求を見抜く鍵は、合計金額ではなく内訳にあります。
「一式」と全面張替えに注意する
もっとも注意すべきは「クロス張替え一式」という書き方です。汚損があったのが1面だけなのに全面分が計上されている、というケースが実際にあります。
クロスの張替えは、原則として汚損箇所を含む壁1面単位です。同じ部屋の他の面まで負担する義務は通常ありません。色合わせのために全面を張り替えたい場合、差額は貸主負担となるのが一般的です。
見積書には部屋ごと、面ごとの面積と単価が記載されているべきです。「一式」としか書かれていないなら、内訳を求めてください。
経過年数と契約書の特約
入居年数が記載され、それに応じた減価が計算されているかを見ます。たとえば5年入居でクロスを汚損した場合、6年で残存1円ですから、負担割合はおおむね6分の1程度になります。定価の満額が請求されているなら、その根拠を確認する必要があります。
また「退去時にハウスクリーニング費用は借主負担とする」といった特約が結ばれていることがあります。特約自体は直ちに無効ではありませんが、有効と認められるには条件があります。通常損耗を超える負担であることが明確に示され、借主がその内容を認識し、合意していること。
金額が明示されていない包括的な特約は、争いになると否定されることもあります。契約書を手元に置いて突き合わせてください。
よくいただくご相談
貸主様からも借主様からも、繰り返しご相談いただくテーマをまとめます。
「立ち会いはしたほうがいいのか」
必ず立ち会ってください。 これが最も実務的な助言です。
立ち会いなしで後日請求書だけが届くと、その傷がいつついたものかを争う手段がなくなります。立ち会いの場で、指摘された箇所を一緒に確認し、写真を撮っておいてください。
入居時の写真が残っていれば、それが最大の防御になります。これから入居される方は、入居直後に部屋全体を撮影しておくことを強くおすすめします。 床、壁、水回り、建具。数十枚撮っても数分です。
その場でサインを求められても、内容に納得できなければ保留して構いません。「持ち帰って確認します」と伝えてください。
「貸主側だが、どこまで直すべきか」
貸主の立場では、負担区分とは別に「次の入居者が決まるか」という判断軸が加わります。
ガイドライン上は貸主負担でも、クロスが黄ばんだままでは内見時の印象が悪く、空室期間が延びます。家賃1か月分の損失を考えれば、数万円の張替えは投資として合理的なことが多いです。
優先順位としては、まず水回りとクロス、次に床、最後に建具や設備です。内見で最初に目が行く玄関と水回りに手を入れると、費用対効果が高くなります。
工事の流れと期間
空室期間は家賃に直結します。段取りを知っておくと、無駄な日数を減らせます。
退去から入居までの段取り
退去立ち会いで状況を確認し、見積を作成します。ここまでに2日から5日程度。
工事は内容によりますが、クロスとクリーニングのみなら2日から3日、床を含めると4日から6日、水回りの設備交換が入ると1週間から2週間程度です。
空室期間を短くしたい場合、退去日が決まった時点で現地調査をしておくと、退去当日から着工できます。数日の短縮でも、家賃に換算すれば効果があります。
発注のタイミング
繁忙期は3月から4月です。この時期は職人の手配が難しくなり、通常より工期が延びます。可能であれば2月中には発注を済ませておきたいところです。
逆に6月から8月、11月から12月は比較的動きやすく、日程の調整がしやすくなります。
年度末に複数戸の退去が見込まれる場合は、前年のうちに枠を押さえておくと確実です。
他の選択肢との比較
全面をやり直すだけが方法ではありません。状況に応じた選択肢を挙げます。
部分補修という選択
床の傷が1箇所だけ、クロスの汚れが手のひら大だけ。こうした場合は、全体をやり直さず部分補修で済むことがあります。
フローリングの傷はパテと着色で目立たなくできますし、クロスも同柄が残っていれば部分的に貼り替えられます。費用は1箇所1万円から3万円程度です。
判断の分かれ目は、補修跡が目立つかどうかです。日当たりの良い場所や、視線が集まる場所は、部分補修だと違和感が残ることがあります。
あえて全面リフォームにする考え方
貸主の立場で、築年数が経ち家賃を上げたい場合は、原状回復の範囲を超えて全面的に手を入れる選択もあります。
原状回復で30万円かけるより、80万円かけて設備を新しくし、家賃を月5,000円上げられれば、16か月で差額を回収できます。空室期間の短縮効果も加わります。
ただし周辺の相場を超えた家賃設定は空室につながります。地域の需給を見たうえでの判断になります。
まとめ
原状回復は「入居時の状態に完全に戻すこと」ではありません。通常の使用で生じた損耗と経年変化は、貸主の負担です。
借主負担となるのは、故意・過失、善管注意義務違反、通常の使用を超える使用による損耗。判断の軸は「普通に住んでいて起きることか」です。
そして借主負担であっても、経過年数に応じて負担は減ります。クロスやクッションフロアは6年で残存1円。5年住んでいれば、負担はごくわずかです。
費用の目安は、クロス張替えが6畳で3万円から5万円程度、クッションフロアが3万円から6万円程度、ハウスクリーニングが1Rで2万円から3万円程度です。
見積書では、「一式」表記になっていないか、面単位で計算されているか、経過年数が反映されているかを確認してください。この3点で、請求の妥当性はおおむね判断できます。
退去時は必ず立ち会い、その場で写真を撮ってください。入居時の写真があれば、それが最大の備えになります。
HYRは神奈川県横浜市戸塚区を拠点に、横浜市全域と藤沢市・鎌倉市で原状回復工事を行っています。貸主様からのご依頼も、借主様からの見積確認のご相談も承ります。負担区分の考え方も含めてご説明しますので、請求内容に疑問がある場合もお気軽にお問い合わせください。
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